デパ地下を、未開のフィールドへ デパ地下を、未開のフィールドへ

「ジェイアール名古屋タカシマヤ フードメゾン 岡崎店」プロジェクト 「ジェイアール名古屋タカシマヤ フードメゾン 岡崎店」プロジェクト

多種多様な料理やお菓子などがずらりと集まる、食のエンターテインメント空間。それが、デパ地下です。デパートの地下に設けられていることから、誰もが当たり前のようにそう呼んでいますが、その常識を覆す「ジェイアール名古屋タカシマヤ フードメゾン 岡崎店」がイオンモール岡崎に開店しました。「デパ地下をそのまま持ってきた」といわれるこの施設は、どのような経緯を辿って生まれたのでしょうか。プロジェクトに参加した時期がそれぞれ異なる3人のメンバーに、当時の様子を伺ってみましょう。

PROJECT MEMBER

成田 裕紀 成田 裕紀

成田 裕紀

フルキャスト(1999年入社)

総合企画部 経営戦略グループに所属。
マーケティングに関する業務のほか、
アライアンス政策や新規事業の推進
などを行う。

肥田 佳恵 肥田 佳恵

肥田 佳恵

フルキャスト(1999年入社)

営業第5部 フードメゾン岡崎グループに
所属。マネージャーとして、売上管理
や営業施策の検討・実施といった通常
業務に加え、新規開業時のあらゆる
イレギュラーな事案に対応。

三木 翔太 三木 翔太

三木 翔太

フルキャスト(2016年入社)

営業第5部 フードメゾン岡崎グループに
所属。セクションチーフとして、開業
に向けて人やモノの流れに関する
ルールを策定。
現在は売場運営全般を担う。

SECTION 01

名古屋の外に、
もっと新しいファンを

広い土地を見つけたし、集客もある程度見込めるだろう。そんな曖昧な思惑を頼りに、出店が成功できるほどこの業界は甘くありません。経営戦略グループに属する成田は、そのことをよく知る人物のひとりです。彼女の部署は、全社のマーケティングデータの収集・分析・活用、マーケティング戦略の立案・推進などを担当しています。いわば、ジェイアール東海高島屋の経営を中心でしっかりと支え、成長へと導く重要なポジション。
今回のプロジェクトでも、その力は遺憾なく発揮されました。「三河地域に出店することは、当社にとって重要な意味をもちます。なぜなら、当社の基本商圏は名古屋駅から鉄道で60分圏内のエリアであり、三河地域も含まれているからです。またこの地域にはライバルとなる百貨店を支持する人が多いというデータもありました。そのことからも地域一番店であり続けることをめざす私たちとして、この地域で知名度をより高め、新規顧客を取り込む必要がありました。そこで考えられたのが、フードメゾン岡崎店の出店だったのです」と成田は言います。ジェイアール東海高島屋にとって初めての試みとなるプロジェクトに対して、彼女はどのような戦略を立て遂行したのでしょうか。

SECTION 02

岡崎まで、
お客さまを迎えにいくつもりで

プロジェクトを進めるにあたり、成田を含む戦略チームはまず商圏を設定したそうです。「イオンモール岡崎を利用されるお客さまの多くは、生活必需品をお求めになります。このデータをもとに、私たちは数ある商材の中から“食料品”を選択し、商圏を店舗から15km以内と決めました」と彼女は語ります。それを踏まえ、次は新規顧客の獲得数を割りだしたとか。
この獲得数、実はフードメゾン岡崎店への来客数のほかに、もうひとつの目標を達成するための数も含まれています。それは、名古屋駅にある本館へ誘引する数。「出店における効果試算は、さほど難しくはありません。それよりも困難だったのは、フードメゾン岡崎店に訪れたお客さまの流れを名古屋駅の本館へつなげ、企業全体としての収益の嵩上げを図ることでした」と成田は言います。
これを解決するためには、障壁となる「名古屋駅までの時間と距離」を解消することが重要なポイントなのだそうです。彼女は、開店前から現地にサテライト店を設置してカード会員の加入促進に取り組むほか、フードメゾン岡崎店が開業した後も来店者の購買動向を分析しながら、名古屋駅に顧客をスムーズに送りこむための手がかりを探しています。

SECTION 03

よく聞き、話す。
それが、調整力を磨く

新しい店舗を立ち上げる際は、それに関わる人たちの肩に使命感や責任感が重くのしかかります。三木は、このプロジェクトに途中から参加。それまで食料品とはまったく縁のない部署にいたと言います。彼自身、人一倍焦りや不安を抱いたのではないでしょうか。「私が起用されたのは、食料品とは別の部門の視点も入れながら新しい店をつくることが必要だったからではないでしょうか。全社を挙げてのプロジェクトに関わることとなり大きなプレッシャーを感じましたが、新たな出店に携われるうれしさもありました」と言います。
そんな彼の主な業務は、売場運営をするにあたり必要なルール作りや調整作業であったことから、とにかく関係部署の担当者たちと密にコミュニケーションを図ったそうです。「お取引先様とは互いのルールや企業文化の差を埋める努力をしたり、関係部署とは作業が捗るよう話し合ったりしましたが、どの場合でも調整に苦労したときがありました。それでも、尊敬する上司の仕事ぶりを参考にして乗り越えたことを覚えています」と彼は目を細めます。また慣れない食料品売場の業務については、研修時に先輩社員が発する言葉を一言一句逃さぬよう聞き入ったそうです。

SECTION 04

これまでのスキルを、
売場の最前線で活かす

どんなプロジェクトを進めるにしても、その道に精通している人がメンバーにいると心強い。肥田は、入社してからこれまで食料品部で働いてきた、いわば食料品のプロフェッショナルです。そんな彼女がフードメゾン岡崎店のマネージャーとして、このプロジェクトに参加したのは開店の2週間前でした。
「当時、私の主な業務は売場の運営における業務の整理や販促物の調整、開店準備の状況確認などでした。とはいえ、私自身は開店間近のときに配属されたので、すぐにすべての業務をスムーズに行うことは難しかった。そこで、まずは前々からプロジェクトに参加しているメンバーの意思を尊重しつつ、現況の情報を把握することから始めました。また部下がイオンモール岡崎の関係者と話し合う中、問題などが起こった際は部下の代わりに私が話の軌道修正を図ったりもしました。それは、メンバーやお取引先様を不安にさせないことにつながりますから」。肥田は平然と話しますが、短期間の中で自身の置かれた立場を理解し、やるべきことを分析して実行に移すことは容易いことではありません。それができるのも、彼女にはフードメゾン岡崎店の未来を担うにふさわしい経験と対応力が備わっているからです。

SECTION 05

役割は違うけれど、
目標は同じだから

2022年、フードメゾン岡崎店は無事にオープンしました。その盛況ぶりは、開店前に500人待ちの行列ができたほど。また売上も、当初の予想を大きく上回ったといいます。この記念すべき初日に、3人は何を思ったのでしょうか。
「新しいMDやブランドの導入などが伴う投資は、売上高や収支といった指標に目が行きがちです。しかし会社の成長を見据えるなら、新規顧客の獲得数や既存顧客の客単価の向上にどれだけ寄与できたかなど、顧客との接点を価値と見なして評価することも決して忘れてはいけませんね」と成田は言います。

一方、三木は「売場の運営力が身につきました。このスキルを通して、三河地域のランドマークとなれるよう店舗づくりに励みます」と話し、肥田は「今回の経験を活かし、商品の売り方や見せ方の工夫などを各ブランドに伝えていきたいです。またいっしょに働くメンバーたちが、笑顔で業務に取り組めるよう職場環境も整えていけたら」と笑顔で語ってくれました。
出店における戦略や現場の準備、調整など、一人ひとりの役割は違います。しかし、フードメゾン岡崎店を成長させたい、発展させたいという目標はみんな同じ。そのことが、3人の言葉から伝わってきました。