STORY 物語を知る

Connecting Stories with Roses Connecting Stories with Roses Connecting Stories with Roses Connecting Stories with Roses


華やかで優美なバラは、
私たちのシンボルフラワー。
その由縁は、バラのように人々から愛され、
時代を超えて親しまれる
百貨店でありたいという想いでした。
何よりも大切なのは、私たち一人ひとりが
バラのような存在であること。
それぞれの場所で咲き誇る
個性豊かなバラたちは
お客さまと、仲間と、どんなストーリーを
紡いでいるのでしょうか。
STORY.01



今井 佑奈 Yuna Imai
2022年入社。営業第5部所属。1年目の冬、受験シーズンに合わせて販売した「合格弁当」の企画を担当する。ディズニーフリークで、好きなアーティストのライブ参戦が趣味。
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いつだってポジティブに、意欲的に。向上心を忘れない。 そうあるべきだとわかっているけど、人間だもの、 時にはそんな気持ちになれないこともある。 入社後、初めての配属先を告げる辞令を手にした私のように。 どちらかというと、私は前向きなタイプだと思う。 大学時代の4年間はよさこいサークルに打ち込んでいた。 100人超の大所帯サークルを、大人の手を借りずに学生主体で 運営していたことは、ちょっとした誇りでもある。 ゼミでは地元の商店街に「にぎわいを創る」企画を考えたり、 ジブリパーク開園の効果を 近隣地域にどのように活かすことができるかを考えたり。 人と関わることが好きだったから、ゼミのフィールドワークは 熱心に取り組んだ。 学生には学生の、社会人には社会人の「日常生活」があって、 そこに趣味やサークルや推しゴトなんかのプラスαがあって。 なんならそのα部分こそ、自分らしさとか豊かさの主成分じゃないかな、 いつしかボンヤリ考えるようにもなってた。 そんな考えやゼミの学びが、就活を通じて見事に一本化。 「地域の人々の生活に彩りをプラスしたい!」 私はそんな熱い想いを抱いて、ジェイアール東海高島屋に入社した。 当時、私のα部分には、幼い頃から続けてきた書道や アーティストの推し活、帽子コレクションなどが詰まっていた。 おしゃれに興味を持ち始めた頃から、帽子が好き。 だから、私が何を通じて生活に彩りをプラスしたかったのかというと、 つまりどの部署に配属を希望していたかというと、衣料品などを扱う ファッション関連の営業部だった。 それが、まさかの。
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配属先は営業第5部。食料品を商材とする部署。 落ち込んだ。しばらく立ち直れそうにないと思った。 けれど幸か不幸か、食料品に詳しくなかった私はブランドや食材の 勉強に忙しくて、実際はそんなに落ち込んでもいられなかった。 モノを売るにはさまざまな手続きや確認事項が必要なこと、 多くの人の手を介することにも驚くばかり。 商品知識や仕事を覚えるのに精一杯で、夏があっという間に過ぎた。 「受験応援のお弁当企画、やってみない?」 一つ上の先輩から声をかけられたのは、秋も深まった頃。 先輩は新入社員だった1年前に、合格=五角形の折におかずを詰めた 「合格弁当」を企画した担当者だった。 正直なところ、初めはちょっと戸惑い気味だった。 間もなくクリスマスやおせち料理シーズンを迎えるという繁忙期に、 2か月ほどの準備期間で企画を実現させる自信もなかった。 でも、数年前は私自身も受験生。 食事の時間が唯一のリラックスタイムだったっけ。 あの頃を思い出せば、私らしい提案ができるかも。いや、できる! こうして私は、合格弁当の企画に向けて動き出した。 何よりも大切にしたのは、合格弁当を通じて受験生やその家族を 応援したいという想い。どうかサクラが咲きますように…。 色鉛筆を取り出して、イメージスケッチを描いてみる。 サクラ型のおむすびで志望校と〝縁を結ぶ〟、〝めでたい〟金目鯛に、 合格を〝とりにいく〟鶏の唐揚げ、ねばねば食材のオクラで 〝ネバーギブアップ〟、〝まっすぐ根を張る〟ごぼうも入れたい…。 縁起の良い食材やおかずのイラストに、合格弁当に込めた想いを 書き添えて、製造元となる取引先2社にプレゼンテーションした。
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反応はといえば、社内事情により製造が困難だと断られたり、 食材の確保に難色を示されたり、予想以上に厳しいものだった。 もともと天候に出来が左右される食料品は、材料の納品予測や 加工の段取りがとても難しい。こだわりの食材や具材ならなおさらだ。 私は何度も取引先と打ち合わせを重ね、変更や調整を繰り返した。 そして、ようやく合格弁当の商品化が決まる! 発注個数に頭を悩ませ、販売ブースもPOPも自分で手がけた。 大学共通テストに合わせた販売期間が近づくにつれ緊張が高まる。 やるからには、よりよいものにしたかった。そして迎えた初日ー。 「可愛いお弁当ね。美味しそうだからいただくわ」 最初の一つを手に取ってくれたのは、上品なおばあさま。 売れた!店頭に立っていた私は、多分、満面の笑顔だったと思う。 合格弁当を企画した新入社員さんによろしくね、応援してくれる 気持ちに涙が出そう、そんな言葉をかけてくださるお客さまもいた。 ありがたいことに、テレビ局や新聞社が何社も取材に来てくれた。 受験生にもそれ以外のお客さまにも好評で、予想を上回る数が売れた。 販売期間を過ぎた後も問い合わせがくるほど反響があるなか、 HPを経由して一通のメールが届く。 「新入社員の今井さんが考案された合格弁当をニュース番組で拝見し、感動 したのでその気持ちを伝えさせてください。合格弁当、色合いもよく、語呂 合わせのおかずなど素晴らしいと思いました。美味しそうで、真心や合格し てほしいという気持ちが伝わってきました。我が家には受験生がいませんが、 その頃に合格弁当があったら食べさせてあげたかったと思いました」 メールは私への激励に続いて、新入社員に素敵な企画を任せる ジェイアール東海高島屋のさらなる発展を祈念します、そう結ばれていた。
合格弁当
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心底、うれしかった。 私と同じくらいか、それ以上に、周りのみんなも喜んでくれた。 もっと、もっと、うれしくなった。 入社前からお世話になっている人事部のマネージャーは 「こんなにありがたいご意見をいただくのは奇跡みたいなこと!」って ちょっぴり興奮気味に労ってくれた 確かに普段は厳しいご意見ばかり。お詫び文を書く機会の方が多い。 上司から「自分の言葉でお礼の返信をしなさい」と言われて 私は慣れないお礼の文に悩みつつ、感謝の気持ちを込めてお返事した。 想いってちゃんと伝わるんだ。 時には、思いがけないほどの感動や喜びをともなって。 その確信が私を少しだけ強くしてくれた。 小さなお願いごとにも誠実に対応するとか、 人の話を聞くときには必ず体を向けて聞くとか、 言われたことはすぐメモして次のアイデアにつなげるとか、 些細なところにも想いは宿る。 私の想いが誰かに届き、その誰かがこうして想いを届けてくれる。 しあわせな連鎖が続いてあちこちに笑顔の花が咲く。 生活に彩りをプラスするって、こういうことなのかもしれないー。 最初は誰だって自信が持てないものだけど、 きっと大丈夫。 未来なんて、すぐに変わる。 どんな想いも目標も、叶えるのは自分次第だから。